相続税の基礎ガイド|基礎控除・10か月・配偶者軽減
最終更新:2026-07-12
家族が亡くなったとき、多くの方が気にされるのが相続税です。ただ、遺産が一定額(基礎控除)以下なら相続税はかからず、申告も不要です。まずは「そもそもかかるのか」を落ち着いて確認しましょう。ここでは国税庁の情報をもとに、基礎控除・期限・主な特例を整理します。
はじめにお読みください。 相続税は財産の評価や特例の適用で計算が複雑になり、期限(10か月)も限られます。基礎控除を超えそうな場合や不動産・非上場株式などがある場合は、早めに税理士・税務署にご相談ください。このページは全体像をつかむための一般的な解説です。
1. まず「かかるか」を確認 ― 基礎控除(早わかり表)
相続税がかかるのは、正味の遺産総額が基礎控除額を超える場合です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除額 | 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 |
| 例:相続人が配偶者と子2人(3人) | 3,000万円+600万円×3=4,800万円 |
| 申告・納付の期限 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 |
| 基礎控除以下なら | 原則、申告も納税も不要(※特例で0円にする場合は申告が必要) |
国税庁は、取得した財産の価額の合計額が「遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません」とし、申告は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う」としています。
法定相続人の数の注意点:
- 相続放棄をした人がいても、基礎控除等の計算上は「放棄がなかったものとした場合」の人数で数えます(人数は減りません)。
- 養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めます。
2. 相続税がかかる財産・かからない枠
課税対象は、現金・預貯金・不動産・有価証券など「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」です。加えて、次のみなし相続財産も対象になります。
- 生命保険金(被相続人が保険料を負担していたもの)/死亡退職金
- ただし相続人が受け取る場合、それぞれ 500万円 × 法定相続人の数 までが非課税。
- 相続人以外(相続放棄した人を含む)が受け取ると、非課税枠は使えません。
一方、遺産総額からは差し引けるものがあります。
国税庁は、被相続人の債務(借入金や未払金など確実と認められるもの)に加え、「葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます」としています。
未支給年金との関係。 未支給年金は遺族固有の権利で相続財産に当たらず、相続税の対象外(受取人の一時所得)です。一方、死亡後の高額療養費の未支給分は被相続人の未収金=相続財産になり得ます。似ていても扱いが逆なので注意しましょう。
3. 税額を大きく下げる主な特例(いずれも申告が要件)
- 配偶者の税額軽減:配偶者が実際に取得した正味の遺産額のうち、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税がかかりません。
- 小規模宅地等の特例:自宅の土地(特定居住用宅地等)は、330㎡までの部分について評価額を80%減額できます。
重要な落とし穴。 これらの特例は自動では適用されません。「特例を使った結果、税額が0円になる」場合でも、相続税の申告書の提出が要件です。申告しないと軽減・減額を受けられないため、基礎控除を超えるなら必ず期限内に申告してください。
4. 手続きの流れ(ざっくり)
- 財産と債務を洗い出す(不動産・預貯金・保険・借入金など)。預貯金の相続で残高証明を取ると把握しやすくなります。
- 基礎控除と比べる。以下なら原則申告不要(特例利用時を除く)。
- 超えるなら、遺産分割を進め、10か月以内に申告・納税。
- 亡くなった方のその年の所得税は、別途準確定申告(4か月以内)が必要な場合があります。
ご注意(免責)
本ページは相続税の一般的な解説であり、個別の課税の有無・税額・特例の適用可否を判断・保証するものではありません。財産の評価、法定相続人の判定、特例の要件、税制改正などによって結論は変わります。数値・制度は令和8年(2026年)時点のものです。具体的なご相談・お手続きは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。相続した不動産の名義変更は相続登記の義務化ガイドもあわせてご覧ください。