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相続税の基礎ガイド|基礎控除・10か月・配偶者軽減

最終更新:2026-09-05

この記事の要点

  • 遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×人数)以下なら原則かからない。
  • 期限は10か月。
  • 特例は申告が要件。

家族が亡くなったとき、多くの方が気にされるのが相続税です。ただ、遺産が一定額(基礎控除)以下なら相続税はかからず、申告も不要です。まずは「そもそもかかるのか」を落ち着いて確認しましょう。ここでは国税庁の情報をもとに、基礎控除・期限・主な特例を整理します。

はじめにお読みください。 相続税は財産の評価や特例の適用で計算が複雑になり、期限(10か月)も限られます。基礎控除を超えそうな場合や不動産・非上場株式などがある場合は、早めに税理士・税務署にご相談ください。このページは全体像をつかむための一般的な解説です。

1. まず「かかるか」を確認 ― 基礎控除(早わかり表)

相続税がかかるのは、正味の遺産総額が基礎控除額を超える場合です。

項目内容
基礎控除額3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:相続人が配偶者と子2人(3人)3,000万円+600万円×3=4,800万円
申告・納付の期限死亡を知った日の翌日から10か月以内
基礎控除以下なら原則、申告も納税も不要(※特例で0円にする場合は申告が必要)

国税庁は、取得した財産の価額の合計額が「遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません」とし、申告は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う」としています。

法定相続人の数の注意点:

  • 相続放棄をした人がいても、基礎控除等の計算上は「放棄がなかったものとした場合」の人数で数えます(人数は減りません)。
  • 養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めます。

2. 相続税がかかる財産・かからない枠

課税対象は、現金・預貯金・不動産・有価証券など「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」です。加えて、次のみなし相続財産も対象になります。

  • 生命保険金(被相続人が保険料を負担していたもの)/死亡退職金
    • ただし相続人が受け取る場合、それぞれ 500万円 × 法定相続人の数 までが非課税。
    • 相続人以外(相続放棄した人を含む)が受け取ると、非課税枠は使えません。

一方、遺産総額からは差し引けるものがあります。

国税庁は、被相続人の債務(借入金や未払金など確実と認められるもの)に加え、「葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます」としています。

未支給年金との関係。 未支給年金は遺族固有の権利で相続財産に当たらず、相続税の対象外(受取人の一時所得)です。一方、死亡後の高額療養費の未支給分は被相続人の未収金=相続財産になり得ます。似ていても扱いが逆なので注意しましょう。

3. 亡くなる前の贈与が、遺産に足し戻されることがある

「生前に贈与しておけば相続税はかからない」と考えられがちですが、亡くなる前の一定期間にした贈与は、相続税の計算上、遺産に足し戻されます(生前贈与加算)。ここは2024年(令和6年)の改正で加算される期間が3年から7年へ段階的に延びている部分で、いま何年分が対象かは「いつ亡くなったか」で変わります。

「7年になった」と書かれていることが多いですが、7年がフルに適用されるのは令和13年(2031年)1月1日以後の相続からです。それまでは経過措置期間で、対象期間は下の表のとおりです。
相続の開始(亡くなった日)加算の対象になる贈与の期間
〜令和8年(2026年)12月31日相続開始前3年以内(死亡の日から遡って3年前の日から死亡の日まで)
令和9年1月1日〜令和12年12月31日令和6年1月1日から死亡の日まで(結果として3年より長く、7年より短い)
令和13年(2031年)1月1日以後相続開始前7年以内

誰の贈与が対象か。 国税庁は加算の対象を「相続等により財産を取得した人で、その相続等に係る被相続人から加算対象期間内に暦年課税に係る贈与によって財産を取得した人」としています。つまり相続で財産を受け取った人が、生前に同じ人から受けた贈与が対象です。

延長された分には100万円の控除があります(相続開始の日が令和9年(2027年)1月2日以後の場合)。

「相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合には、加算対象期間内に取得した財産のうち相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産については、その財産の贈与時の価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価格に加算されません。」(国税庁)

つまり3年より前の部分についてだけ、合計100万円までは足し戻さなくてよいという仕組みです。

足し戻されない贈与もあります。 国税庁は、次の非課税の適用を受けた金額は加算しないとしています。

  • 贈与税の配偶者控除を受けた金額
  • 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち非課税の適用を受けた金額
  • 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち非課税の適用を受けた金額

二重課税にはなりません。 加算された贈与財産について既に納めた贈与税があれば、贈与税額控除として相続税から差し引けます(加算税・延滞税・利子税は含みません)。

なお、贈与には暦年課税のほかに「相続時精算課税」という選択制の課税方式があり、こちらは加算のルールが異なります。どちらを選んでいたかで結論が変わるため、該当しそうな場合は国税庁の該当ページか税務署・税理士でご確認ください。

4. 税額を大きく下げる主な特例(いずれも申告が要件)

  • 配偶者の税額軽減:配偶者が実際に取得した正味の遺産額のうち、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税がかかりません。
  • 小規模宅地等の特例:自宅の土地(特定居住用宅地等)は、330㎡までの部分について評価額を80%減額できます。

重要な落とし穴。 これらの特例は自動では適用されません。「特例を使った結果、税額が0円になる」場合でも、相続税の申告書の提出が要件です。申告しないと軽減・減額を受けられないため、基礎控除を超えるなら必ず期限内に申告してください。

5. 手続きの流れ(ざっくり)

  1. 財産と債務を洗い出す(不動産・預貯金・保険・借入金など)。預貯金の相続で残高証明を取ると把握しやすくなります。
  2. 基礎控除と比べる。以下なら原則申告不要(特例利用時を除く)。
  3. 超えるなら、遺産分割を進め、10か月以内に申告・納税。
  4. 亡くなった方のその年の所得税は、別途準確定申告(4か月以内)が必要な場合があります。

ご注意(免責)

本ページは相続税の一般的な解説であり、個別の課税の有無・税額・特例の適用可否を判断・保証するものではありません。財産の評価、法定相続人の判定、特例の要件、税制改正などによって結論は変わります。数値・制度は令和8年(2026年)時点のものです。具体的なご相談・お手続きは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。相続した不動産の名義変更は相続登記の義務化ガイドもあわせてご覧ください。

よくある質問

生前贈与は何年前までさかのぼって相続税の対象になりますか?

亡くなった日によって変わります。国税庁によると、令和8年12月31日までの相続では相続開始前3年以内の贈与が加算されます。令和9年1月1日から令和12年12月31日までの相続では令和6年1月1日から死亡の日までの贈与が対象となり、令和13年1月1日以後の相続で相続開始前7年以内になります。『7年に延びた』とだけ書かれていることが多いのですが、7年がそのまま当てはまるのは令和13年以後の相続です。なお、相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合には、延長された部分(相続開始前3年以内より前の部分)について合計100万円までは加算されません。

相続税は必ずかかりますか?

いいえ。正味の遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、原則として相続税はかからず、申告も納税も不要です。多くのご家庭は基礎控除の範囲内におさまります。

申告と納税の期限はいつまでですか?

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。申告書の提出も納税も、同じ期限までに行います。

生命保険金にも相続税はかかりますか?

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金はみなし相続財産として課税対象ですが、相続人が受け取る場合は「500万円×法定相続人の数」までが非課税です(死亡退職金も同様の非課税枠があります)。

配偶者は相続税が優遇されると聞きました。申告しなくてよいですか?

配偶者は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のどちらか多い額まで相続税がかかりませんが、この軽減は相続税の申告書を提出して初めて適用されます。税額が0円になる場合でも申告が必要です。

相続放棄をすると基礎控除の人数は減りますか?

減りません。基礎控除などの計算に使う「法定相続人の数」は、相続放棄がなかったものとして数えます。ただし放棄した本人は相続人でなくなるため、その人には保険金等の非課税枠は使えません。

出典

ご確認のお願い:制度は改定されることがあり、金額・要件・期限は自治体や個別の事情により異なります。掲載内容は出典時点のものです。実際のお手続きの前に、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。