相続登記の義務化ガイド|3年以内・過料10万円
最終更新:2026-07-12
亡くなった方名義の土地や建物は、名義を相続人へ変更する「相続登記」をしないと、そのままにしておくことができなくなりました。2024年(令和6年)4月から相続登記が法律上の義務になり、期限を過ぎると過料の対象になり得ます。しかも過去の相続もさかのぼって対象です。ここでは法務省・法務局の情報をもとに整理します。
はじめにお読みください。 相続登記は、遺産分割や戸籍収集をともなうことが多く、ケースによっては専門家(司法書士)に依頼した方が確実です。このページは制度の全体像をつかむためのものです。具体的な手続きは、不動産を管轄する法務局や司法書士にご確認ください。
1. 相続登記の義務化(早わかり表)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を | 亡くなった方名義の不動産(土地・建物)の名義を相続人へ変更する登記 |
| いつまで | 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内 |
| 過去の相続 | 2024年4月1日より前の相続も対象。原則2027年(令和9年)3月31日まで |
| 怠ると | 正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象 |
| どこで | 不動産の所在地を管轄する法務局(登記所) |
| 費用 | 登録免許税=固定資産税評価額の0.4%(+戸籍等の取得費用) |
法務省は「相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になりました」と案内しています。
2. 期限と「過去の相続」の扱い
- 原則:自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内。
- 施行日:2024年(令和6年)4月1日。
- 施行前の相続も対象(経過措置)。
法務省は「正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象となることとされました」とし、施行前の相続については「令和9年3月31日まで(不動産を相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降の場合は、その日から3年以内)に相続登記をしていただく必要があります」としています。
3. 遺産分割がまとまらないとき ―「相続人申告登記」
3年以内に遺産分割がまとまらないこともあります。その場合の簡易な義務の果たし方が、新設された相続人申告登記です。
法務省は、相続人が「自らが登記記録上の所有者の相続人であること等を期限内(3年以内)に登記官(不動産を管轄する法務局)に申し出ることで、義務を履行することができます」と説明しています。
- 相続人が単独で申し出でき、法定相続分の確定は不要、提出書類も少なく、登録免許税がかからないのが利点です。
- ただしこれは申出であって、名義変更(所有権の移転登記)そのものではありません。遺産分割が成立したら、その日から3年以内に改めて移転登記が必要です。
4. 手続きと費用
- 申請先:不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)。
- 主な必要書類の例:被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人の戸籍・住民票、遺産分割協議書または遺言書、固定資産評価証明書など(ケースにより異なります。詳細は法務局の手続案内で確認を)。
- 登録免許税:相続による所有権移転登記は、不動産の価額(固定資産税評価額)の0.4%(1000分の4)(国税庁)。土地については、2027年3月31日までの免税措置により非課税となる場合があります。
法定相続情報証明制度が便利。 法務局に戸籍の束を一度提出して交付を受ける「法定相続情報一覧図の写し」は、相続登記だけでなく預貯金の相続や年金・相続税など各種手続きで戸籍の束の代わりに使え、繰り返しの提出を省けます。
5. 早めに進めたい理由(遺産分割の10年ルール)
放置するほど相続人が増え、権利関係が複雑になります。加えて、2023年(令和5年)4月施行の民法改正で、相続開始から10年を過ぎた後の遺産分割は、原則として生前贈与や寄与分を反映した具体的相続分ではなく、法定相続分によることになりました。早めの遺産分割と相続登記が大切です。
なお、借金が多いなどの理由で相続そのものを引き継ぎたくない場合は、相続放棄(原則3か月以内)という選択肢もあります。相続放棄をするなら、遺産である不動産に手をつける前に検討してください。
ご注意(免責)
本ページは相続登記の一般的な解説であり、個別の可否・費用・「正当な理由」の該当性を判断・保証するものではありません。必要書類や登録免許税の免税措置の要件は、不動産の状況や最新の制度によって異なります。実際のお手続きは、不動産を管轄する法務局または司法書士にご確認ください。相続税が関わる場合は相続税の基礎ガイドや税務署・税理士もあわせてご確認ください。