遺産分割協議ガイド|全員の合意・協議書・10年ルール
最終更新:2026-07-12
遺言がないとき(または遺言でカバーされない財産があるとき)、相続人が集まって「誰が何を相続するか」を話し合って決めるのが遺産分割協議です。相続人全員の合意が必要で、決まった内容は遺産分割協議書にまとめ、相続登記や預金の解約などに使います。ここでは裁判所・法務省の情報をもとに整理します。
はじめにお読みください。 遺産分割は相続人間の利害が対立しやすく、戸籍による相続人の確定や不動産の評価など専門的な作業をともないます。もめそうなときや財産が複雑なときは、早めに司法書士・弁護士にご相談ください。このページは制度の全体像をつかむための一般的な解説です。
1. 遺産分割協議とは(早わかり表)
法務省は「遺産分割とは、法律で決められた相続人が全員参加して、相続財産の分け方を決定する手続をいいます」としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| だれで | 相続人全員(一人でも欠けると成立しない) |
| 前提 | 戸籍で相続人を確定(他に相続人がいないことを確認) |
| 成果物 | 遺産分割協議書(全員の実印+印鑑証明書) |
| まとまらないとき | 家庭裁判所の調停 →(不成立なら)審判 |
| 期限の目安 | 相続開始から10年で、原則 法定相続分による分割に |
2. まず相続人を確定する
協議の前提として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍をたどり、法定相続人を特定します。
法務省の登記手続ハンドブックは、遺産分割の前に「法定相続人を特定する(他に相続人がいないことを証明する)必要があります」としています。
後から相続人が出ると、やり直しに。 前婚の子や認知された子などが後で判明すると、その人を欠いた協議は原則として無効です。だからこそ、はじめに戸籍で全員を確定することが重要です。戸籍集めは法定相続情報証明制度を使うと、その後の手続きが楽になります。
3. 遺産分割協議書(実印・印鑑証明が必要)
合意した内容は書面(遺産分割協議書)にまとめます。
ハンドブックは「遺産分割協議書には、相続人全員が印鑑証明書と同じ印(実印)を押し、その印鑑証明書…を各1通添付します」としています。
- 認印では不可。相続登記や預貯金の相続、相続税の申告などで提出書類になります。
4. まとまらないとき ― 家庭裁判所の調停・審判
話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。
「話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,裁判官が…審判をすることになります」(裁判所)。
5. 法定相続分と「10年ルール」
協議や調停がまとまらないときの目安が法定相続分です(配偶者と子=各1/2、配偶者と直系尊属=2/3・1/3、配偶者と兄弟姉妹=3/4・1/4)。
そして、放置は禁物です。
法務省は「相続開始(被相続人の死亡)時から10年を経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)による。(新民法904の3)」としています(2023年〈令和5年〉4月1日施行)。
10年を過ぎると、生前贈与(特別受益)や介護等の貢献(寄与分)を反映した具体的相続分を主張しにくくなります。心当たりがある相続人は、10年以内に家庭裁判所へ遺産分割の請求をしておくことが大切です。
6. 協議前でも使える預金の払戻し
葬儀費用や当面の生活費のため、遺産分割の前でも一定額を単独で引き出せます。
全国銀行協会は「同一の金融機関…からの払戻しは150万円が上限」とし、計算式を「相続開始時の預金額(口座・明細基準)×1/3×払戻しを行う相続人の法定相続分」としています。
払い戻した分は、後日の遺産分割でその相続人の取得分として調整されます。詳しくは預貯金の相続ガイドをご覧ください。
ご注意(免責)
本ページは遺産分割の一般的な解説であり、個別の分割方法や相続人の範囲・持分を判断・保証するものではありません。相続人の確定、財産の評価、特別受益・寄与分の扱いなどは個別の事情や最新の制度によって異なります。具体的なご相談・お手続きは、司法書士・弁護士・家庭裁判所などにご確認ください。相続放棄を検討する場合は相続放棄ガイド(原則3か月以内)もあわせてご覧ください。