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高額療養費の払い戻しガイド|死亡後は相続人が請求

最終更新:2026-09-03

この記事の要点

  • 医療費の自己負担超過分の払い戻し。
  • 死亡後は相続人が請求、時効は2年。
  • 相続財産になる点に注意。

医療機関の窓口で支払う1か月の自己負担が一定の上限を超えたとき、その超えた分が払い戻されるのが「高額療養費」です。家族が入院・手術などで高額の医療費を負担していた場合、亡くなった後でも相続人が請求できます。ここでは厚生労働省・自治体の情報をもとに、制度の基本と、とくに死亡後の請求・時効・税金の扱いを整理します。

はじめにお読みください。 高額療養費は葬祭費・埋葬料とはまったく別の制度で、それぞれ申請が必要です。また死亡後に受け取る高額療養費は相続財産にあたり、未支給年金(相続財産に含めない)とは税務上の扱いが異なります。相続放棄を検討している場合はとくに注意が必要です(後述)。

金額・区分は令和8年(2026年)8月に改定され、年単位の上限額が新設されました(下記の表は改定後のものです)。実際の手続きは、加入していた保険の保険者・市区町村でご確認ください。

1. 高額療養費のしくみ(早わかり)

厚生労働省は「医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合、その超えた額を支給する。上限額は、年齢や所得に応じて定められて」いると説明しています。

  • 単位は暦月(1日〜末日)。月をまたぐ入院は月ごとに区切って計算します。
  • 上限額(自己負担限度額)は年齢・所得で異なります。
  • 世帯合算:同じ保険の世帯内で1か月の自己負担を合算し、限度額を超えれば超過分が支給されます(70歳未満は1件21,000円以上が合算対象)。
  • 多数回該当:直近12か月に高額療養費が3回以上あると、4回目以降は上限額がさらに軽減されます。

自己負担限度額(70歳未満・令和8年8月〜令和9年7月)

2026年(令和8年)8月診療分から金額が変わりました。あわせて、月ごとの上限とは別に年単位の上限額(年間上限)が新設されています。それ以前の診療分は改正前の金額で計算されるため、古い一覧を見ていないかご注意ください。

厚生労働省の資料に掲載されている表は次のとおりです(令和8年8月〜令和9年7月の診療分)。

所得区分(年収換算)健保(標準報酬月額)国保(旧ただし書き所得)月単位の上限額多数回該当年単位の上限額
約1,160万円〜83万円以上901万円超270,300円+(医療費−901,000円)×1%140,100円1,680,000円
約770万円〜約1,160万円53万〜79万円600万〜901万円179,100円+(医療費−597,000円)×1%93,000円1,110,000円
約370万円〜約770万円28万〜50万円210万〜600万円85,800円+(医療費−286,000円)×1%44,400円530,000円
〜約370万円26万円以下210万円以下61,500円44,400円530,000円 ※
住民税非課税——36,900円24,600円290,000円

※ 厚生労働省の注記:「『年収換算 〜約200万円(健保:15万円以下、国保:86万円以下)』区分に該当することが確認できた者は、年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に償還払い」。負担割合は3割(義務教育就学前は2割)。

  • 「年間上限」とは。 厚生労働省は「月ごとの自己負担額が積み上がっても、年間の上限額に達した後は、それ以上の医療費の支払いは不要となります」と説明しています。この「年間」は8月から翌年7月までです。月ごとの上限に届かない月が続く長期治療の方にも効くしくみで、多数回該当(現行額を据え置き)とあわせたセーフティネットの強化として導入されました。
  • 70歳以上は別区分で、外来だけの上限(外来特例)があります(例:一般区分は外来〈個人ごと〉22,000円・年間上限216,000円)。
  • 事前の負担軽減:マイナ保険証(オンライン資格確認)を使うか、事前に「限度額適用認定証」を提示すれば、1つの医療機関での窓口支払いを最初から限度額までにできます。

次の改定。 厚生労働省は令和9年(2027年)8月から所得区分をさらに細分化する予定を示しています(70歳未満は5区分から12区分へ。例:年収約200万円未満の区分に多数回該当34,500円・年間上限41万円が設けられます)。金額・区分は改定されるため、実際の計算はご加入の保険者の最新案内でご確認ください。

2. 死亡後は「相続人」が請求する

被保険者(世帯主など)が亡くなった後に生じた・未請求の高額療養費は、相続人代表者の申請により支給されます。

板橋区は「被保険者が亡くなった場合は、相続人代表者の手続き(申請)により、高額療養費を支給します」と案内しています(後期高齢者医療制度)。

主な必要書類の例:

  • 相続権が確認できる書類(戸籍、または法定相続情報一覧図の写しなど)
  • 高額療養費支給申請書
  • 相続人代表者の届出書・申立書、相続人代表者名義の振込先がわかるもの

なお、相続人が亡くなった方と住民票上同一世帯だった場合などは、続柄の書類の添付が不要となる自治体もあります。国民健康保険・後期高齢者医療は市区町村(保険年金課の給付担当)が窓口で、加入していた保険(協会けんぽ・健康保険組合など)によって窓口・様式が異なります。

3. 時効は2年 ― 葬祭費とは別に申請

高額療養費を申請できる期間(時効)は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内です。2年を過ぎると請求できなくなります。死亡後の相続人による請求も同じ時効です。

葬祭費・埋葬料とは別制度。 高額療養費(医療費の払い戻し)と、葬祭費・埋葬料(葬儀に対する給付)は別のもので、それぞれ申請が必要です。給付の見分け方は葬祭費・埋葬料の完全ガイドで解説しています。手続き全体の順番は死亡後の手続きガイドもあわせてご覧ください。

4. 税金・相続の注意 ― 「相続財産」になる

死亡後に相続人が受け取る高額療養費は、本来は亡くなった方本人が受け取るはずだったもので、亡くなった方の「未収金」=相続財産として扱われます。相続税がかかる財産には、現金・預貯金のほか「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」が含まれるためです。遺産総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の課税対象になり得ます。

未支給年金との違いに注意。 同じ「死亡後に遺族が受け取るお金」でも、未支給年金は遺族固有の権利で相続財産に含めず(受取人の一時所得)、高額療養費の未支給分は相続財産に含まれるという違いがあります。

相続放棄を考えている方へ。 高額療養費は相続財産にあたるため、相続放棄を予定している方がこれを受け取って費消すると、単純承認とみなされ相続放棄ができなくなるおそれがあります。相続放棄を検討中は、受け取る前に司法書士・弁護士へご相談ください。

ご注意(免責)

本ページは高額療養費制度の一般的な解説であり、個別の支給額・可否を保証するものではありません。自己負担限度額の区分・金額は改定され(令和8年〈2026年〉8月に金額改定と「年間上限」の新設が実施済み、令和9年〈2027年〉8月に区分細分化が予定)、死亡時の申請様式・必要書類・窓口は保険者(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険・後期高齢者医療)や自治体によって異なります。

税金・相続の取り扱いは個別事情で変わります。実際のお手続きは加入していた保険の保険者・市区町村の窓口へ、税務・相続放棄のご相談は税理士・司法書士・弁護士など専門家へご確認ください。

よくある質問

亡くなった家族の高額療養費は誰が請求できますか?

相続人(相続人代表者)が請求できます。相続人であることがわかる戸籍等の書類、支給申請書、相続人代表者名義の振込先などを用意し、国民健康保険・後期高齢者医療なら亡くなった方の住所地の市区町村(保険年金課の給付担当)へ申請します。加入していた保険によって窓口・様式が異なります。

いつまでに申請すればよいですか?

診療を受けた月の翌月1日から2年以内です。2年を過ぎると時効で請求できなくなります。死亡後に相続人が請求する場合も同じ時効です。

高額療養費と葬祭費・埋葬料は同じものですか?

別の制度です。高額療養費は医療費の自己負担超過分の払い戻し、葬祭費・埋葬料は葬儀に対する給付で、それぞれ別に申請が必要です。詳しくは葬祭費・埋葬料のガイドもご覧ください。

受け取った高額療養費に税金はかかりますか?

死亡後に相続人が受け取る高額療養費は、亡くなった方の「未収金」として相続財産に含まれ、遺産総額が基礎控除額を超えれば相続税の課税対象になり得ます。未支給年金(受取人の一時所得で相続財産に含めない)とは扱いが異なります。心配な場合は税務署・税理士にご確認ください。

相続放棄を考えています。高額療養費を受け取っても大丈夫ですか?

注意が必要です。死亡後の高額療養費は相続財産にあたるため、相続放棄を予定している方が受け取って使ってしまうと、単純承認とみなされ相続放棄ができなくなるおそれがあります。相続放棄を検討中は、受け取る前に専門家(司法書士・弁護士)に相談してください。

入院前に窓口負担を抑える方法はありますか?

あります。マイナ保険証(オンライン資格確認)を利用するか、事前に「限度額適用認定証」を入手して医療機関に提示すれば、1つの医療機関での窓口支払いを自己負担限度額までにとどめられ、後から払い戻しを受ける手間がなくなります。

出典

ご確認のお願い:制度は改定されることがあり、金額・要件・期限は自治体や個別の事情により異なります。掲載内容は出典時点のものです。実際のお手続きの前に、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。