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相続財産の調査ガイド|預貯金・不動産・負債の調べ方

最終更新:2026-07-13

相続では、まず「何が、どれだけあるか」を正確につかむことがすべての出発点です。遺産分割も相続税も、そして相続するか放棄するかの判断も、財産の全体像が分からなければ決められません。ここでは預貯金・不動産・有価証券・負債の4系統について、各機関の一次情報にもとづく調べ方を整理します。

はじめにお読みください。 とくに負債(借金・保証)の把握は、相続放棄(原則3か月以内)の判断に直結します。「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産」も早めに調べてください。いずれの請求も、故人の死亡と請求者が相続人であることを戸籍等で証明する必要があります。法定相続情報一覧図を用意しておくと、各所での戸籍の束の提出を省けて便利です。

1. 4系統の調査(早わかり表)

財産調べ先取得するもの
預貯金各金融機関残高証明書(相続開始日現在)
不動産市区町村/法務局名寄帳・固定資産評価証明書登記事項証明書
有価証券証券保管振替機構(ほふり)登録済加入者情報の開示(口座の有無)
負債JICC・CIC・KSC信用情報の開示(借入・保証)

2. 預貯金:残高証明書を請求する

各金融機関に、相続開始日(死亡日)現在の残高証明書を請求します。

  • 必要書類は、故人の死亡が分かる戸籍等と、請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本等が基本です(ゆうちょ銀行など)。
  • 法定相続情報一覧図の写しを提出すれば、金融機関への戸籍謄本の提出が原則不要になる銀行もあります(三菱UFJ銀行)。
  • 通帳やキャッシュカードのある金融機関から順に当たり、取引店が不明でも本支店照会で調べられる場合があります。

3. 不動産:名寄帳と登記事項証明書

不動産は「どこに何を持っていたか」を突き止めるのがポイントです。

  • 市区町村で名寄帳(固定資産課税台帳)・固定資産評価証明書を取得:法定相続人・受遺者・遺言執行者が申請できます(東京都主税局の例)。故人名義の不動産をその市区町村内で網羅的に把握できます。
  • 法務局で登記事項証明書を取得:名寄帳等で所在地を特定したら、法務局で個々の不動産の権利関係(所有権・抵当権など)を確認します。オンラインでも交付請求ができ、郵送または窓口で受け取れます。
  • 固定資産税評価額は、相続税の土地・家屋評価の土台にもなります(国税庁)。

4. 有価証券:ほふりで口座の有無を調べる

株式・投資信託などは、どこの証券会社に口座があるか分からないことがあります。その場合は、証券保管振替機構(ほふり)登録済加入者情報の開示請求を行うと、口座の開設先(証券会社等)が分かります。

  • 相続関係の証明として、法定相続情報一覧図の写しの提出が最優先で案内されています(ほふり)。
  • 手続きを行う相続人自身の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等いずれか1点のコピー)も必要です。
  • 開設先が判明したら、各証券会社に残高等を照会します(詳細は証券・株式の相続)。

5. 負債:信用情報機関(JICC・CIC・KSC)に開示請求

借金や保証は通帳に残らないことも多く、信用情報機関への開示請求が有効です。3機関は加盟業態が異なるため、原則すべてに請求します。

  • JICC(消費者金融系など):法定相続人または2親等以内の血族が開示手続きを行えます。故人の法定相続人等であることが分かる法定相続情報一覧図または戸籍謄本等(発行3か月以内の原本)が必要。
  • CIC(クレジット・信販系):法定相続人による手続きで、故人の情報を開示申込みできます。
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター)(銀行系):法定相続人またはその法定代理人(相続財産管理人を含む)に限り開示申込みができます。上位順位者が相続放棄・死亡している場合はその事実を証する資料が必要。

6. 負債の把握は「相続放棄3か月」に直結

負債の全体像が分かってはじめて、単純承認・限定承認・相続放棄の判断ができます。相続放棄・限定承認は、民法により「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述しなければなりません(裁判所)。

起算点は死亡日ではなく「相続の開始を知った時」です。3か月以内に調査が終わらない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てれば、熟慮期間を延ばせます。判断に迷うときは早めに弁護士・司法書士へ相談してください。

ご注意(免責)

本ページは相続財産調査の一般的な解説であり、必要書類・手数料・様式は金融機関・自治体・信用情報機関ごとに異なり、改定されることもあります。名寄帳等の手続きは自治体により窓口・様式が異なります。実際の請求前に、各機関の公式ページで最新の手続きをご確認ください。負債や相続放棄の判断は、弁護士・司法書士にご相談ください。

よくある質問

相続財産の調査はどの順番で進めればよいですか?

決まった順序はありませんが、負債調査(信用情報機関への開示請求)は結果が届くまで1〜2週間程度かかり、かつ相続放棄の判断に直結するため、できるだけ早く着手するのが安全です。預貯金・不動産の概要把握と並行して進めましょう。

残高証明書はいつ時点の残高で発行してもらいますか?

相続税の申告や遺産分割の基準にするため、通常は相続開始日(亡くなった日)現在の残高証明書を各金融機関に請求します。

名寄帳と登記事項証明書はどう使い分けますか?

名寄帳は市区町村が所有者ごとに固定資産をまとめた一覧で、故人名義の不動産を網羅的に把握するのに向きます。登記事項証明書は法務局が発行する個々の不動産の権利関係(所有権・抵当権等)の証明で、所在地を特定したあとに個別取得して権利を確認します。

信用情報機関はなぜ3つとも調べる必要がありますか?

JICC・CIC・KSCは加盟する業態が異なり(消費者金融系・クレジット/信販系・銀行系など)、扱う借入・保証の情報が異なります。負債を漏れなく把握するには、原則3機関すべてに開示請求します。

3か月の相続放棄の期限に間に合いそうにありません。

財産調査が3か月以内に終わらない場合は、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることで、熟慮期間を延ばすことができます。

出典

ご確認のお願い:制度は改定されることがあり、金額・要件・期限は自治体や個別の事情により異なります。掲載内容は出典時点のものです。実際のお手続きの前に、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。