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相続人がいないとき|相続財産清算人と特別縁故者

最終更新:2026-07-18

単身の方や、子のいないご夫婦が亡くなったとき、「相続人が誰もいない」というケースがあります。相続人全員が相続放棄して結果的に相続する人がいなくなった場合も同じです。そのとき財産はどうなるのか、そして内縁の配偶者や生前に世話をした人は受け取れるのか——裁判所・民法の一次情報で整理します。

要点: 相続人がいないと相続財産は法人になり(民法951条)、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が清算します。相続人捜索の公告は6か月以上(952条)。特別縁故者(生計を同じくした人・療養看護に努めた人など)は、公告期間満了後3か月以内に分与を請求でき(958条の2)、それでも残った財産は国庫へ(959条)。

手続きの流れ(早見表)

段階内容(根拠)
① 相続財産法人相続人が明らかでないと相続財産は法人になる(民法951条)
② 清算人の選任利害関係人・検察官の請求で家庭裁判所が選任(952条・最後の住所地の家裁)
③ 相続人捜索の公告相続人を捜す公告。6か月を下ることができない(952条2項)
④ 清算相続債権者・受遺者へ弁済(請求申出は2か月以上の公告)
⑤ 特別縁故者への分与公告期間満了後3か月以内に請求(958条の2)
⑥ 国庫帰属処分されなかった残余は国庫に帰属(959条)

相続人がいないと財産は「法人」になる

まず、相続する人がはっきりしないと、宙に浮いた財産を管理・清算するために、法律上その財産自体が「法人」として扱われます。

「相続財産は、法人とする。」(民法951条)

この相続財産法人を管理・清算するのが、次の相続財産清算人です。

相続財産清算人の選任

清算人は自動では決まりません。申立てが必要です。

「利害関係人又は検察官の請求によって」(民法952条)

家庭裁判所が選任します。申立てできる「利害関係人」には、

「利害関係人(被相続人の債権者,特定遺贈を受けた者,特別縁故者など)」(裁判所)

が挙げられています。申立先は

「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」(裁判所)

で、必要書類には

「出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本」(裁判所)

などが含まれます(費用・書類の詳細は申立先の家庭裁判所でご確認ください)。

相続人捜索の公告(6か月以上)と清算

清算人が選任されると、本当に相続人がいないかを確認するための公告などが行われます。相続人を捜すための公告期間は、

「その期間は、六箇月を下ることができない。」(民法952条2項)

と定められています。あわせて清算人は、相続債権者・受遺者に対して「二箇月以上の期間を定めて」請求の申出を公告し、

「清算手続きに入るのは、同期間が満了してからになります」(熊本家庭裁判所)

とされています。つまり、清算はいくつもの公告期間を経て進むため、時間がかかります。

特別縁故者への分与——内縁・介護をした人など

相続人はいないけれど、故人と深い関わりがあった人には、財産を受け取れる道があります。それが特別縁故者への分与です。

「これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」(民法958条の2)

対象は、条文上

「生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者」その他特別の縁故があった者(民法958条の2)

の3類型です。内縁の配偶者や、長年にわたり療養看護に努めた親族でない人などが、これに該当し得ると考えられています。ただし、該当するか・どの程度分与されるかは家庭裁判所の判断(裁量)であり、個別の事情によります。

そして重要なのが請求の期限です。

「前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。」(民法958条の2)

裁判所の実務資料でも「申出期間満了の日から3か月以内に相続財産分与の申立てを」と案内されています。この3か月を過ぎると請求できなくなるため、心当たりがある場合は早めに家庭裁判所へ確認してください。

残った財産は国庫へ

清算と特別縁故者への分与を経てもなお残った財産は、最終的に国に引き継がれます。

「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。」(民法959条)

期間の目安

公式に「合計◯か月」という単一の目安は示されていませんが、法律で定められた期間を積み上げると、清算人の選任後、相続人捜索の公告(6か月以上)の満了後さらに3か月以内が特別縁故者の請求期限です。したがって選任から特別縁故者の手続きの期限までは最短でも概ね9か月程度かかり、事案の内容によってはさらに長くなります。相続人がいない財産の手続きは長期戦になりやすいと理解しておくと安心です。

相続放棄の可否や期限は相続放棄・限定承認、遺産全体の把握は相続財産の調査もあわせてご覧ください。

よくある質問

相続人が誰もいない場合、財産はどうなりますか?

まず相続財産が「法人」となり(民法951条「相続財産は、法人とする。」)、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が管理・清算します。債権者や受遺者への支払い、特別縁故者への分与を行い、それでも残った財産は最終的に国庫に帰属します(民法959条)。相続人全員が相続放棄して結果的に相続する人がいなくなった場合も、この手続きの対象です。

内縁の配偶者や、亡くなった人の世話をしていた人は財産を受け取れますか?

「特別縁故者」として、家庭裁判所に相続財産の分与を請求できる可能性があります。条文は対象を「生計を同じくしていた者」「療養看護に努めた者」「その他特別の縁故があった者」と定めており(民法958条の2)、内縁関係の人などがこれに該当し得ると考えられています。ただし該当するか・どの程度分与されるかは家庭裁判所の判断(裁量)で、個別事情によります。

特別縁故者の分与にはいつまでに請求が必要ですか?

期限があります。民法958条の2は「(分与の)請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない」と定めています。裁判所の実務資料でも「申出期間満了の日から3か月以内に相続財産分与の申立てを」と案内されています。この期限を過ぎると請求できなくなるため、早めの確認が必要です。

相続財産清算人はどうやって選任しますか?

利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)または検察官が、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に選任を申し立てます(民法952条)。申立てには、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本などが必要です。詳しい書類・費用は申立先の家庭裁判所にご確認ください。

手続きにはどのくらい時間がかかりますか?

法律で定められた公告期間があり、短くはありません。相続人を捜すための公告期間は「六箇月を下ることができない」(民法952条)とされ、特別縁故者の請求はその期間満了後さらに3か月以内です。これらの法定期間を積み上げるだけでも清算人選任から特別縁故者の期限まで最短で概ね9か月程度かかり、事案の内容によりさらに長くなります。

出典

ご確認のお願い:制度は改定されることがあり、金額・要件・期限は自治体や個別の事情により異なります。掲載内容は出典時点のものです。実際のお手続きの前に、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。