遺言書の検認ガイド|家庭裁判所の手続き・勝手に開封NG
最終更新:2026-07-13
自筆で書かれた遺言書が見つかったとき、いきなり開けて中身を実行してはいけません。多くの場合、まず家庭裁判所の検認という手続きが必要です。「勝手に開封すると過料」という重要なルールもあります。ここでは裁判所・法務省・民法の情報をもとに整理します。
はじめにお読みください。 検認は遺言の有効・無効を判断しません。あくまで、遺言書の存在と内容を相続人に知らせ、その時点の状態を記録して偽造・変造を防ぐ手続きです。なお公正証書遺言や法務局の保管制度を使った遺言は検認不要です。
1. 早わかり表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検認とは | 遺言の存在・内容を相続人に知らせ、検認日時点の状態を記録して偽造・変造を防ぐ手続き |
| 有効無効 | 判断しない(別途、遺言無効確認等が必要) |
| 必要な遺言 | 自筆証書遺言・秘密証書遺言 |
| 不要な遺言 | 公正証書遺言/法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したもの |
| 申立人 | 遺言書の保管者、または発見した相続人 |
| 申立先 | 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所 |
| 開封 | 勝手に開けない(家庭裁判所で立会いのもと開封) |
| 費用 | 収入印紙800円/通+郵便切手(検認済証明書は別途150円/通) |
2. 検認とは(有効無効は決めない)
裁判所は、検認を「遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続」と説明し、「遺言の有効・無効を判断する手続ではありません」としています。相続人に遺言の存在・内容を知らせ、検認日時点の形状・加除訂正・日付・署名などを明確にします。遺言の効力を争いたい場合は、別途「遺言無効確認」などの手続きが必要です。
3. 検認が必要な遺言・不要な遺言
- 必要:自筆証書遺言、秘密証書遺言(民法1004条1項)。
- 不要:
- 公正証書遺言——民法1004条2項が「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない」と定めています。
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したもの——交付される「遺言書情報証明書」は検認不要です(裁判所・東京法務局)。
4. 勝手に開封しない(過料の対象)
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できません(民法1004条3項)。
民法1005条:検認を経ずに遺言を執行した者、または家庭裁判所外で開封した者は、5万円以下の過料に処せられます。
見つけても開けず、そのまま家庭裁判所に持ち込んで検認を申し立てましょう(検認期日に裁判官が立会いのもと開封します)。
5. 申立ての手続き・必要書類・費用
- 申立人:遺言書の保管者、または発見した相続人。
- 申立先:遺言者の最後の住所地の家庭裁判所。
- 必要書類:遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本 等。
- 費用:遺言書1通につき収入印紙800円分+連絡用の郵便切手(人数で変動)。検認済証明書の交付は別途1通150円分の収入印紙。
- 期間の目安:申立てから検認期日までおおむね1か月。
検認が済むと「検認済証明書」が付き、相続登記や預貯金の相続など各種手続きに使えます。手続きの全体像は死後の手続き、遺言全般は遺言(種類と選び方)もご覧ください。
ご注意(免責)
本ページは遺言書の検認の一般的な解説であり、個別の申立ての可否や遺言の効力を判断・保証するものではありません。必要書類・郵便切手の枚数など運用細目は管轄の家庭裁判所により異なる場合があります。実際の申立ては、管轄の家庭裁判所の最新案内や弁護士・司法書士にご確認ください。