自筆証書遺言書保管制度ガイド|法務局で保管・検認不要
最終更新:2026-07-13
「自筆で遺言を書いたが、紛失や改ざん、死後に見つけてもらえるか心配」——そんな自筆証書遺言の弱点を補うのが、自筆証書遺言書保管制度です。2020年に始まった、法務局が自筆証書遺言を預かる制度で、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になる大きなメリットがあります。ここでは法務省の情報をもとに整理します。
はじめにお読みください。 この制度が保証するのは「保管」と「様式(外形)の確認」であって、遺言の内容が有効かどうかは保証しません。内容面の確実性を最重視するなら、公証人が関与する公正証書遺言も選択肢です。両者の違いを理解して選んでください。
1. 早わかり表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始 | 2020年(令和2年)7月10日 |
| 何を | 自分で書いた自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)が保管 |
| メリット | 紛失・改ざん・隠匿の防止/家庭裁判所の検認が不要 |
| 注意 | 内容の有効性は保証しない(外形的チェックのみ) |
| 手続き | 本人が予約して出頭(代理・郵送申請は不可) |
| 手数料 | 保管申請=遺言書1通3,900円 |
| 様式 | A4サイズ・所定の余白・片面のみ |
2. 制度のメリット
法務省が挙げる主なメリットは次のとおりです。
- 紛失・亡失のおそれがない(法務局が保管)。
- 相続人等による破棄・隠匿・改ざん等を防げる。
- 相続開始後、家庭裁判所における検認が不要。「相続開始後、家庭裁判所における検認が不要です!」(法務省)。
- 保管申請時に、民法所定の自筆証書遺言の形式に適合するか外形的なチェックを受けられる。
一方で、「本制度は、保管された遺言書の有効性を保証するものではありません」(法務省)。様式は満たしても、内容の解釈や有効性が争われる可能性は残ります。
3. 保管申請の手続き・様式・手数料
- 予約制・本人出頭:手続きの多くは予約が必要で、遺言者本人が法務局へ出向く必要があります(「必ず遺言者ご本人が…お越しください」)。
- 手数料:保管申請は遺言書1通につき3,900円。
- 様式:遺言書はA4サイズで、上5mm・下10mm・左20mm・右5mmの余白を確保し、片面のみに記載する必要があります(両面記載は不可)。
自筆証書遺言そのものの書き方の基本(全文自書・日付・署名押印など)は遺言(種類と選び方)もご確認ください。
4. 死亡後、相続人ができること
遺言者の死亡後、相続人等は次の手続きができます。
- 遺言書情報証明書の交付請求(来所のほか郵送でも可)。これが相続登記や預貯金の相続などに使えます(検認不要)。
- 閲覧(原本閲覧・モニター閲覧の2種類)。ただし、保管された遺言書の原本は家族でも返却を受けられません。
- 関係遺言書保管通知:関係相続人の誰かが閲覧等をすると、法務局が他の全ての関係相続人等に保管の事実を通知します(特段の手続き不要)。
- 指定者通知:遺言者があらかじめ指定した人(最大3名)に、死亡確認時に保管の旨を知らせる仕組み(希望した場合のみ)。
5. 検認制度との関係
この制度の最大の実務メリットが、遺言書の検認が不要になることです。通常、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要ですが、本制度を利用すれば、交付される遺言書情報証明書によって検認なしに相続手続きへ進めます。遺族の負担と時間を減らせます。
ご注意(免責)
本ページは自筆証書遺言書保管制度の一般的な解説であり、個別の遺言の有効性や手続きの可否を判断・保証するものではありません。手数料・様式・運用は法改正や各法務局の案内で変わることがあります。実際の手続きは、管轄の法務局(遺言書保管所)の最新の公式案内や、弁護士・司法書士にご確認ください。