小規模宅地等の特例ガイド|自宅の土地330㎡80%減
最終更新:2026-07-13
自宅の土地は、相続税評価額が高くなりがちです。「実家を相続したら相続税が払えない」を防ぐために設けられているのが、小規模宅地等の特例です。自宅の土地なら330㎡まで評価額を80%減——効果が非常に大きいぶん、要件も細かい制度です。国税庁の情報をもとに整理します。
はじめにお読みください。 この特例も、相続税が0円になる場合でも申告が必要です。また「家なき子」要件などは複雑で、判定を誤ると適用できません。金額が大きい場合は、相続税の基礎ガイドや配偶者の税額軽減とあわせ、税理士への相談をおすすめします。
1. 区分ごとの限度面積と減額割合
被相続人等の居住用・事業用に使われていた宅地等について、限度面積までの部分の相続税評価額を減額できます。
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(自宅) | 330㎡ | 80%減 |
| 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80%減 |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80%減 |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50%減 |
たとえば評価額6,000万円の自宅の土地(330㎡以内)なら、80%減で1,200万円として計算できます。
2. 特定居住用宅地等(自宅)の取得者ごとの要件
自宅の土地は、誰が取得するかで要件が変わります。
- 配偶者が取得:居住継続・保有継続などの「取得者ごとの要件」はありません(無条件で適用可)。
- 同居親族が取得:相続開始の直前から申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ宅地等を申告期限まで保有していること。
- 別居親族(家なき子)が取得:配偶者も同居親族もいない場合に限り、次のような6要件をすべて満たす必要があります。
- 被相続人に配偶者がいないこと
- 相続開始前3年以内に、取得者や取得者の配偶者等が所有する家屋に居住したことがないこと
- 相続開始時に取得者が居住している家屋を、過去に所有していたことがないこと など
3. 事業用・貸付用の継続要件
事業用・貸付用の宅地は、事業を引き継いで続けることが要件です。
- 事業承継要件:被相続人の事業(貸付事業)を申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで営んでいること。
- 保有継続要件:宅地等を申告期限まで保有していること。
- なお、相続開始前3年以内に新たに事業(貸付事業)用にした宅地等は、原則として対象から除外されます(一定規模以上の事業を除く)。
4. 申告が必要(税額0でも)
この特例も、適用を受けるには相続税の申告書の提出が前提です。国税庁No.4124は、申告書に適用を受ける旨を記載し、計算明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付して提出する必要があるとしています。取得しうる相続人等が2人以上いる場合は、選択について全員の同意が必要です。
そして重要なのが分割の状況です。申告期限(10か月)までに遺産分割が成立していないと、その申告では小規模宅地等の特例も配偶者の税額軽減も使えません(国税庁No.4208)。分割後に修正申告・更正の請求で適用できますが、原則3年以内です。
5. 併用時の面積調整
複数の区分を併用するときは面積調整が必要です。
- 貸付事業用を選ばない場合:特定事業用等(400㎡)+特定居住用(330㎡)は完全併用でき、合計最大730㎡まで適用できます。
- 貸付事業用を含める場合:(特定事業用等)×200/400 +(特定居住用)×200/330 +(貸付事業用)≦200㎡、という按分計算になります。
ご注意(免責)
本ページは小規模宅地等の特例の一般的な解説であり、個別の適用可否・減額額を判断・保証するものではありません。とくに「家なき子」要件や相続開始前3年以内の除外規定など細かな要件があり、法令改正で変わることもあります。実際の適用・申告は、国税庁の最新のNo.4124・税務署・税理士にご確認ください。土地の名義変更は相続登記(義務)もあわせてご確認ください。