国保・後期高齢者の死亡時手続き|資格喪失・保険証返却
最終更新:2026-09-05
この記事の要点
- 国保・後期の被保険者が亡くなると死亡日の翌日に資格を喪失し、保険証(資格確認書)の返却が必要。
- 多くの自治体は死亡届で自動喪失し別途届出は不要とするが、14日以内の届出を求める例もあり自治体差がある。
- 保険料は月割り精算で納めすぎは相続人へ還付。
- 70〜74歳に交付される高齢受給者証は、勤務先の健康保険なら事業主経由で返すなど、加入していた保険で返し先が変わる。
家族が亡くなったとき、国民健康保険(国保)や後期高齢者医療の保険の手続きも必要になります。多くは死亡届に連動して自動で進みますが、保険証の返却・保険料の精算・世帯主の変更など、遺族が行う部分もあります。厚生労働省・自治体・広域連合の一次情報で整理します(※自治体差が大きい分野です)。
要点: 被保険者の死亡で死亡日の翌日に資格喪失。保険証(資格確認書)の返却が必要。多くの自治体は死亡届で自動喪失(別途届出不要)ですが、14日以内の届出を求める例もあります。保険料は月割り精算、納めすぎは相続人へ還付されます。
資格喪失は「死亡日の翌日」
「加入者が死亡したとき 国民健康保険の喪失日:死亡した日の翌日」(大田区)
そして多くの自治体では、喪失手続きそのものは自動で行われます。
「死亡届が出されると、住民票に死亡の記載がされ、国民健康保険の資格も喪失となりますので、国民健康保険の喪失手続きは必要ありません。」(大田区)
ただし、江東区のように「14日以内」の届出を案内する自治体もあります(厚労省も加入・脱退は14日以内が原則)。要否・期限は自治体で異なるため、窓口の案内を確認してください。
保険証(資格確認書)の返却
亡くなった方の保険証(または資格確認書)は返却します。
「死亡した本人の保険証または資格確認書は、葬祭費の申請時に回収いたします。」(江東区)
板橋区(後期)も、保険証等は「葬祭費の手続き時もしくは医療機関等の清算が終わった後に」返却するよう案内しています。
高齢受給者証(70〜74歳)はどこへ返すのか
70歳から74歳の方には、医療機関の窓口での自己負担割合を示す「高齢受給者証」が交付されていることがあります。これをどこへ返すのかは、亡くなった方が入っていた医療保険によって変わります。
「75歳になると後期高齢者医療制度の対象となりますが、それまでの間、後期高齢者医療制度に加入しない70歳以上の方には協会けんぽから『健康保険高齢受給者証』が交付されます。これは医療機関等の窓口において一部負担金の割合を示す証明書で、医療機関等で受診される時は、資格確認書と合わせて高齢受給者証を提示する必要があります。」(全国健康保険協会)
協会けんぽはこの証について「収入の状況などにより、1割から3割のいずれかの一部負担金の割合が記載された高齢受給者証が交付されます」と説明し、対象者を「協会けんぽに加入の70歳以上の方で後期高齢者医療の該当者とならない方」と定義しています。つまり75歳以上の方(後期高齢者医療)には、そもそも健康保険高齢受給者証はありません。
| 亡くなった方が入っていた保険 | 高齢受給者証 | 返す先 |
|---|---|---|
| 勤務先の健康保険(協会けんぽ) | 70〜74歳に交付される | 勤務先(事業主)へ渡す |
| 国民健康保険 | 自治体により、資格確認書に一体化して交付を終了 | 市区町村(交付されていれば) |
| 後期高齢者医療(75歳以上) | 交付されない | ―(資格確認書等を返す) |
勤務先の健康保険だった場合は、市区町村ではなく勤務先へ
在職中に亡くなったなど、協会けんぽの被保険者だった方の資格喪失の手続きは、遺族ではなく事業主が行います。
「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が退職や死亡、または契約変更等により健康保険・厚生年金保険の資格基準を満たさなくなった場合等、健康保険および厚生年金保険の資格を喪失する者(70歳以上被用者を含む)が生じた場合は、事業主が『健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届』を提出します。」(日本年金機構)
提出期限は「事実発生から5日以内」です。そして全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者についての添付書類は、「資格確認書、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証」(交付されている場合のみ)とされています。
つまり高齢受給者証は市区町村の窓口ではなく、勤務先を通じて返すことになります。期限が5日と短いので、勤務先への連絡は早めに行ってください。
国保では「高齢受給者証」が無くなっている自治体がある
マイナ保険証への移行にともない、国民健康保険では高齢受給者証を単独では交付しなくなった自治体があります。
「高齢受給者証の交付は終了し、国民健康保険資格確認書と一体化しました」(中野区。2025年7月8日から、一部負担金の割合を記載した国民健康保険資格確認書を交付)
一方、世田谷区は2026年9月1日更新の案内で、資格確認書・資格情報のお知らせと並べて高齢受給者証の再交付を受け付けており、なお交付している自治体もあります。したがって「高齢受給者証が手元にあるかどうか」は自治体と時期によって違います。返すものの一覧は、市区町村の案内でご確認ください。
世帯主が国保だった場合
亡くなった方が世帯主で、同じ世帯に国保の被保険者が残る場合は、書き換えが必要です。
「死亡された方が世帯主であった場合で、同一世帯内に他の被保険者の方がいらっしゃる場合は、資格確認書の世帯主欄と被保険者証番号を変更する必要があります」(大阪市)
あわせて世帯主変更届が必要になる場合があります。
保険料(税)の精算・還付
保険料は死亡月を基準に月割りで精算されます。
「亡くなった被保険者の保険料は、亡くなった日の前の月までの月割計算となります。ただし、末日に亡くなった場合は、その日の月までの月割計算となります。」(北海道後期高齢者医療広域連合)
「前納されていた場合、納めすぎになった額は相続人に還付されます。死亡後の年金から徴収(特別徴収)された国保税は、納めすぎとなっていても相続人に還付されない場合があります。」(佐世保市)
精算の結果、不足分の納付を求められることも、還付を受けることもあります。板橋区(後期)は、後日通知書を送付し、不足なら納付書を同封、納めすぎなら別途還付書類を送るとしています。
葬祭費・高額療養費とあわせて
これらの手続きは、葬祭費の申請と同時に案内されることが多いです。葬祭費は葬祭を行った方(喪主)に支給され、金額は自治体・広域連合で異なります(本調査確認分:3万円〜7万円)。時効は葬祭日の翌日から2年が一般的です。また高額療養費の未支給分は、申請により相続人が受け取れます(板橋区・国分寺市)。
本ページは制度の一般的な解説です。届出の要否・期限、保険証(資格確認書)の返却方法、保険料精算・還付、葬祭費の金額は自治体・広域連合により異なります(2024年12月のマイナ保険証移行で「資格確認書」への切り替えも進んでいます)。実際の手続きの前に、お住まいの市区町村・広域連合の最新の案内をご確認ください。