労災の遺族(補償)給付|受給順位・金額・時効
最終更新:2026-07-13
仕事中や通勤中の事故・災害で家族が亡くなったとき、遺族の生活を支えるのが労災保険の遺族(補償)給付です。健康保険の埋葬料・葬祭費とは別の制度で、金額の水準も大きく異なります。ここでは厚生労働省と法令の一次情報にもとづき、対象・受給できる人・金額・手続きを整理します。
要点: 対象は「業務または通勤が原因の死亡」。生計を維持されていた遺族に、遺族(補償)等年金(または一時金)が支給され、年金には遺族特別支給金(一律300万円)が加わります。請求先は労働基準監督署、時効は死亡日の翌日から5年です。
対象となる死亡
「業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、遺族補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者遺族給付(複数業務要因災害の場合)または遺族給付(通勤災害の場合)が支給されます。」(厚生労働省)
「遺族(補償)等給付には、遺族(補償)等年金と遺族(補償)等一時金の2種類があります。」(厚生労働省)
誰が受け取れるか(受給資格者と順位)
「遺族(補償)等年金の受給資格者となるのは、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹ですが、妻以外の遺族については、被災労働者の死亡の当時に一定の高齢または年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要です。」(厚生労働省)
受給権者(実際に受け取る最先順位者)の順位は、①妻または60歳以上か一定障害の夫、②18歳到達年度末までの間か一定障害の子……と続きます。最先順位者が死亡・再婚などで受給権を失うと、次順位の遺族に移ります(転給)。また、55歳以上60歳未満で受給資格を得た夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は、60歳になるまで支給が停止されます(若年停止)。
金額の目安
年金額は、遺族の数に応じて給付基礎日額の日数分で決まります。
| 遺族の数 | 遺族(補償)等年金 |
|---|---|
| 1人 | 給付基礎日額の153日分(55歳以上または一定障害の妻は175日分) |
| 2人 | 201日分 |
| 3人 | 223日分 |
| 4人以上 | 245日分 |
これに加えて、遺族数にかかわらず遺族特別支給金(一時金)として一律300万円(受給権者が複数のときは等分)が支給されます。さらに、賞与等を基にした遺族特別年金(算定基礎日額の153〜245日分)も年金に併給されます。
一時金(年金の対象者がいないとき)
年金を受けられる遺族がいない場合などには、遺族(補償)等一時金(給付基礎日額の1000日分)が支給されます。福井労働局は要件を次のように案内しています。
「遺族(補償)年金を受けることができる遺族がいない場合」/「遺族(補償)等年金の受給権者が最後順位者まですべて失権し、かつ、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金等の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合」(福井労働局)
請求先と必要書類
「所轄の労働基準監督署長に、『遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書』(様式第12号)または『遺族年金支給請求書』(様式第16号の8)を提出してください。」(厚生労働省)
添付書類として、
「死亡診断書、死体検案書、検視調書またはそれらの記載事項証明書など、被災労働者の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類」(厚生労働省)
が必要です。
時効
「遺族(補償)等年金は、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。」(厚生労働省)
健康保険の埋葬料との関係(労災が優先)
業務・通勤災害による死亡は、そもそも健康保険の給付対象外です。
「この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い(後略)」(健康保険法第1条)
「被保険者に係る…埋葬料…の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法…の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。」(健康保険法第55条)
つまり、労災の対象となる死亡では、健康保険の葬祭費・埋葬料は支給されず、労災保険の給付が優先します。二重には受け取れません。
本ページは制度の一般的な解説です。給付の可否・金額・順位は個別の事情や法改正で変わることがあり、葬祭料(葬祭給付)など本ページで扱っていない給付もあります。実際の請求の前に、勤務先を管轄する労働基準監督署の最新の案内をご確認ください。